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私が『患者様』を使わないわけ

更新日:2021年8月25日

 最近まで、病院や整骨院では『患者様』『〇〇様』という呼称が多数派だった。

 しかし、ここ数年で院内掲示や呼び出しで、以前の『患者さん』『〇〇さん』へと戻している医療機関が出てきた(国立病院機構宇都宮病院は、すでに平成24年11月に院内通達を出している)

 前々から私はこの言葉に違和感があった。そして『患者様』という言い方には、よそよそしささえ感じていた。


 『患者』とは『患った者』という負の言葉である。これに尊敬語である『様』をつけるのは、日本語として間違いだろう。『死者様』と言うだろうか?亡くなった方を小ばかにしているように感じる。なぜなら『死者』は負の言葉だから。


 では、なぜ全国の医療機関にこれが広がったのだろうか。諸説あるが、平成13年の厚生労働省の『患者の呼称の際、原則として姓名に「様」をつけるのが望ましい』という通達があり、その後に広まったようだ。


平成24年の日経メディカルの記事によると、医師に行ったアンケートでは、7割の医師が『患者様』という呼び方に違和感を持っているそうだが、この違和感は医師だけではなく患者さんも感じている。平成18年の読売新聞には、患者さんが『患者様』という言葉に違和感どころか不快感があるのは『様』という丁寧な呼び方に見合った扱いを受けていないという現実があるからだと報じている。


 以前、病院勤務をしたことがあるが、その病院も『患者様』『〇〇様』と呼称していた。

 休憩時間に看護師たちが、喫煙所でタバコ片手に患者さんのことを「あのくそジジイ面倒くさい」など聞くに堪えない悪口雑言を放っていた。ほとんどの看護師は天使のように優しいのだろうが『様』呼称の病院に悪魔のような看護師の取り合わせに苦笑した。


 デパートやエステサロンで『お客様』と呼称するのはサービスや商品に対してお金を払ってくれる大切な人だからだろう。必要以上に待たせないし、平身低頭へりくだる。


 もちろん医療も一種のサービスであり、患者さんは『飯のタネ』ということになる。

 しかし、他の業種と違うところは、病やケガを克服するために共に立ち向かうパートナーであり、この戦いをする戦友ということになる。場合によっては指導上、患者さんに対して厳しいことも言わなくてはならない。また、患者さんと同じ目線で、患者さんの辛さを共有することで、患者さんが楽になることも多いし。


 我々と患者さんは対等な関係であるべきだし、その方が信頼感・親近感など得られることが多く、私は『患者さん』と言う呼称をずっと使っている。


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